Red BookとCD-DAファミリー
 オーディオディスクとして規格が定められたこともあって、Red Bookの主な仕様はつぎに示すとおりとなっており、オーディオ仕様や信号フォーマットについてはよくご存じのはずだと思います。
オーディオ仕様●チャネル数/2(ステレオ)、周波数特性/20〜20kHz、ダイナミックレンジ/98dB

信号フォーマット●サンプリング周波数/44.1kHz、量子化/16ビット直線

変調方式●EFM(Eight-to-Fourteen Modulation)

エラー訂正●CIRC(Cross-Interleaved Reed-Solomon Code)「サーク」と発音。

その他●サブコードの埋め込みが可能。

系譜

 それでは、オーディオ信号は物理的にディスクにどのようにディスクに配置されているのでしょうか。その概念を示したのが下図「CDファミリーのトラック構造とブロック構造(概念図)」です。

 デジタルオーディオ信号はディスクの内周から外周に向けて、スパイラル(らせん)状に“一筆書き”で書き込まれており、「最内周のリードイン(CD-DAではTOCが書き込まれている部分です)→プログラムエリア→最外周のリードアウト」となっています。

 このプログラムエリアには、LPレコードのように、信号がディスク全面に連続的に記録されているわけではありません。Red Bookの場合、1秒間を75の“フレーム”という単位に分け、このフレームをデータのひとまとまりとしています。フレームがRed Bookのデータのひとまとまりの単位であるということは、すべてのCDファミリーのデータの単位もこのフレームということです。ただし、フレームと言うのはオーディオ系の言い方で、PC系、およびデータ系では“ブロック”と呼んでいます。

 CD-DAでは、1フレーム(=ブロック)当たり2352バイトのデータが格納され、すべてを16ビットのオーディオデータに割り当てており、エラー訂正はCIRCを用います。

 CIRCというのは、「クロスインターリーブ」と「リードソロモン」という二つの方式を組み合わせたエラー訂正で、Red Bookで初めて採用されたものです。

 リードソロモン(符号化)というのは、データワード(情報ワード)とパリティワード(冗長ワード、あるいは検査ワード)の組み合わせで行う誤り訂正で、短くて高頻度に発生するようなエラー(ランダムエラー)に対して強力な訂正能力を持ちます。

 一方のインターリーブとは、ディスクメディアに起こりやすい長いエラー(バーストエラー)の訂正に効果があります。インターリーブとは「織り込む」という意味で、インターリーブそのものはデータをばらばらにし、エラーが分散するように配置するということです。そういうふうに配置しておいて、そこのデータブロックにリードソロモン符号化とを組み合わせます。

 このCIRCでビット誤りが生じる確率は「ディスク一枚につき一カ所」と言われる程度です。そしてむろんその場合は誤り訂正が働いて正確な信号を得られるようになっていますが、もしもディスクに傷をつけたりなどして訂正範囲を超えたとしても(ディスク上の長さで最大約2.4ミリの傷まで訂正可能です)、CD-DAの出力は連続したアナログ量ですから、前後の正しいデータから類推して信号を補完でき、補完後も聴感上ほとんど気になりません。補完のようなことがが許されるのは、多くのデジタルデータの中でもビデオ信号とCD-DAの扱うオーディオだけで、コンピュータのデータでは絶対に認められません。

 CD-DAの最後にサブコードについてお話ししておくことにしましょう。

 CD-DAというと、いまから20年近くも前に策定された規格であり、そのこともあって、だいぶ古めかしい印象をお持ちかもしれませんが、CD-DAは近年も着実に進化をつづけており、その進化に、CD-Rも当然対応しています。

 現在でもCD-DA、すなわちRed Bookが進化(といっても大進化というわけではありませんが)をつづけられるというのは、サブコードが設けられていたからです。

 サブコードというのは、2352バイトのオーディオデータとは別の独立したデータ領域があります。これがサブコードで全ディスク容量の3%を占めています。

概念図

 サブコードはコントロール用とユーザ用ビットの二つがあり、独立したデータ領域としてグラフィックスや文字などのデータを格納できるほか、時間軸を備えていることから本体のオーディオ信号と同期でき、この特性を生かしてこれまでCD-G(Graphics)やCD-EG(Extended Graphics)、さらにCD-MIDIという新しい規格が生まれてきました。

 そういうサブコードの拡張として最近注目されているのが、タイトル、アーティスト、曲名などのテキストデータが重畳できるCD-Textです。最近のライティングソフトにはこのCD-Textに対応したものもあり(ただし、テキストデータを挿入するには対応したCD-Rドライブでなければなりません)、個人のCD制作をより広げてくれるものとなっています。