OS依存型の他のファイルシステム
 ISO 9660は、OSにインディペンデントなファイルシステムです。この特徴はそれだけで、CD-ROMとしての使命を十二分に果たしております。
 ただ、OSにディペンドしないというのはどうしても最大公約数になってしまいますから、ファイル名をはじめ機能が制限されます。そこで、ISO 9660を独自に拡張したり、まったく独自のフォーマットによって、ある特定のOSでの使い勝手を向上させる動きも、一方であります。

JolietとRomeo
 Joliet(Julietではありません。念のため)は、マイクロソフトによるISO 9660拡張で、Windows95を出す以前に規格化されており、“8.3形式”のレベル1互換を保ったまま、日本語が扱え、かつ64文字、文字種制限なしという特徴を備えています。

 Jolietで利用されるのがSVD(Supplementary Volume Descripter)と呼ばれる「副ボリューム記述子」です。通常は17セクタ目(論理セクタ番号16)にあるPVDの次のブロック、たとえば18セクタ目(論理セクタ番号17)に配置されます。ボリュームの属性やパステーブル、ディレクトリを指す、という役割はPVDと同じですが、ファイル名にISO 9660で定めた以外の言語を用いるような場合にはこのSVDが利用されることになります。 どうするのでしょうか。

 PVDだけの場合、ファイルへの光ヘッドのアクセスは「PVD→パステーブル→ディレクトリ→ファイル」という経路になりますが、SVDがあると、ISO 9660のパステーブルと別のSVDからポイントできるパステーブル、およびディレクトリを設定することができ、このSVDの経路からでも、PVD経由でポイントされるファイルを指せるようになります。

 文章にするとわかりにくいので下図を参考にしてください。要するに、あるファイルにたどり着くのに、SVDからの“ISO 9660で定めた以外の言語ルート”と本来のPVDからの“標準の英語ルート”があるのだと理解すればいいでしょう。

 英語ルートの場合には、ディスクはISO 9660として認識されますが、このディスクにSVDが記述され、それに日本語のキャラクタセットが指定されている場合、「ISO 9660で定めた以外の言語」として日本語が表示できるようになります。

 JolietではSVDでキャラクタセットにユニコードを指定します。このユニコードが使われている側では、ファイル名やその長さ、階層の制限等がなくなった独自の構造になります。Jolietが認識できないOSでも、PVD側を使ってファイルを読み出せるという特徴を備えています。

 一方、Jolietとともに語られるRomeoは比較的簡単な構造です。Romeoといっても、マイクロソフトのJolietと関係があるわけではありません。

 基本的な構造は、128文字までのロングファイル名が扱えるようにISO 9660の制限をはずしただけのもので、PVD側を拡張してしまっているため、ISO 9660を扱えるOSでもRomeoを読み出せないケースがあります。

Joliet フォーマット構造

Apple HFS(Hierarchical File System)
 ISO 9660とまったく互換性のないOS独自のフォーマットの代表的な例にApple HFSがあります。Apple HFSの特徴は、データフォーク/リソースフォークを備えたMac OSの機能とインタフェース有している点です。いわば、ハードディスク(ボリューム)の複製です。したがって、最大31文字までのファイル名、カスタムアイコンなどのMacintoshのファイルシステムがそのまま利用でき、8階層の制限もありません。

 Apple HFSというと、従来はボリュームコピーでしか作成できませんでしたが、最近はソフトウエア的に仮想のボリュームを作成できるライティングソフトも登場し、使いやすくなってきています。

Apple ISO
 AppleのISO 9660拡張で、リソースフォークを記録できるため、「ファイルタイプ」と「クリエータ」というMacintosh独自の属性も記録することができます。そのためファイルのアイコンのダブルクリックでアプリケーションが起動するなど、使い勝手はMac OSと同じです。長いファイル名に対応するためISO 9660レベル2を採用しており、Windowsからは標準的なISO 9660レベル2ディスクに見えます。

ハイブリッド(HFS-ISO)
 マルチセッションの説明でも“CD-ROM+CD-R”の意味で「ハイブリッド」が登場しましたが、ここでは“HFS+ISO”のハイブリッドを指します。

 ハイブリッドHFS-ISOは、Mac OSからはHFSとして、その他のOSからはISO 9660ディスクとして認識されるというものです。多くはISO 9660とHFSの二つの領域を持ち、ファイルもダブルで備えたものになっていますが、中にはHFSからとISO 9660からの二系統のポインタを持ち、ファイルを共用しているもあります。

 一枚のディスクでMacintoshとWindowsの両方に対応しているCD-ROMのほとんどはこのハイブリッドHFS-ISOディスクとなっていて、基本的にはMacintoshからでしか作成できません。