CD-Rのライティングの方法(1)……DAO
 いま、「Orange Bookの規格どおりに記録すればRed BookやYellow Bookとフルコンパチブルのメディアになる」という言い方をしましたが、厳密には、CD-Rとプレス型のディスク(Red BookやYellow Book)は完全に同一というわけではありません。物理特性や精度などが異なっているのは当然ですが、本章でとくに述べておきたいのは、メディアにどのように信号を記録していくのか。すなわち書き込む方法が、プレス型のディスクとCD-Rとでは異なる場合もある、ということです。

 CD-Rへの記録には、大別して二つの方法があります。それは、
  1. ディスク アット ワンス(Disc at Once=DAO)
  2. インクリメンタル ライト(Incremental Write)
 この二種類です。そして「順次書き込んでいく」という意味のインクリメンタル ライトには(インクリメンタルとは「増加」です)、さらに、2-1「トラック アット ワンス(Track at Once=TAO)」、2-2「パケット ライト(Packet Write)」という書き込みの方法があります。最近では2-3「セッション アット ワンス(Session at Once=SAO)」という方法も、あまり一般的とは言えないようですが認知されてきています(下図)。



 このうちインクリメンタル ライトという書き込みの方法がプレス型のディスクと異なる、追記型メディアゆえのCD-Rの大きな特色になっているのですが、その前にディスク アット ワンス(以下DAO)について説明しておきます。

 インクリメンタル ライトが、「プレス型のディスクと異なりCD-R/RW独自の記録方法」であるということは、別の言い方をすると、DAOはプレス型のディスクと同じ記録方法だということで、DAOは、Yellow Bookの完全互換を目的に考え出されたものです。DAOで書き込むと、記録後の状態は、事実上――本当は多少違うところがあるのですが――Red Bookと同じになります。

 CDに記録されているデータの構造が下図のように「リードイン―ユーザデータ(プログラムエリア)―リードアウト」となっていることはこれまで見てきたとおりで、DAOという記録とは、リードインからリードアウトまでのデータを、記録の順にハードディスクに整えて一気に書き込んでしまう方法です。プレス型のディスクはすべてこの方法で記録されており、たとえ数十MBしか記録せず、メディアに500MB以上未記録部分があったとしても、いったんDAOで書き込んでしまうとそれ以降の追記はできません。